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第32話 話し合い

last update Dernière mise à jour: 2025-10-18 06:00:00

そして、「ただいま〜」と帰って来たヒロさん。

私は、玄関まで走って行って、ヒロさんを抱きしめた。

「おお〜! ふふ」と言いながら、抱きしめてくれた。

でも、ヒロさんは何も言わない。

顔を上げて見ると、額にキスをした。

「怒ってない?」と聞くと、

「え? どうしてひまりに怒るの?」と言った。

「お父様の前で、あんなことを言ったから」

「それな!」と笑いながら言われた。

「ふふ、とりあえず話そう」と言われた。

「うん」

「お風呂先に入る?」

「ううん、後で良いよ」

「分かった」

そして、ヒロさんが着替えるのをリビングのソファーで待った。

戻って来て、「1回ぎゅっとさせて」と、ヒロさんは私を抱きしめた。私もヒロさんを抱きしめた。

私は、なんだかそれだけで泣きそうになっていた。

「よし、話そっか」と言って、ヒロさんは今朝の話を始めた。

「先に自分の考えを言うね」とヒロさんは、私に断ってから話し始めた。

やはり、「名古屋へ行く前に籍を入れたい!」と言った。

本当は、ひまりを一緒に連れて行きたいと。

そして、それは、私のことが心配だからだと言われた。

「え?」

「気づいてないかもしれないけど、ひまりは、モテてるんだよ!」と言った。

私が驚いた顔をしていると、

「ひまりは綺麗だし、性格も良いし、スタイルも良いから今朝だって……」と痴漢のことを言いかけてやめたようだ。

「社内でも、ひまりのことが好きな奴は、たくさん居る」と言うのだ。

私は、首を捻る。

私には、全くそんな実感はない。誰にも言われたこと
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